ペット(後編)

私は考えた。このままでは、彼はこの職場状況に耐えかねて、辞めてしまうかも知れない。この職場は、結果が全て。。。

うーん、ある決断をした。それは・・・、彼のキャラを強調して、愛すべきいじられ役、つまり、ペット化してしまおうと。そうすれば、仕事ができなくても、どこか憎めないキャラ、まともに他人と比較対照されずに済むかもしれない。彼も辞めずに働ける。。。会社にとって、採算を度外視させた、ある種の実験である。

結果は・・・。見事に成功だった。

この間、久しぶりにその職場に遊びに行ってみた。「こんにちは!」と懐かしい声がした。振り返ると彼だった。彼は今でも元気に、仕事をしていた。

ただ、明らかに彼の周囲だけ、時間がゆっくりと流れていた・・・・・。(孔明)

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ペット(前編)

ゴールデンウィーク最後の日、あいにくの雨である。こんな日は・・・あの事を思い出す。

私がかつて、アルバイトをしていた時の話である。

ある日、面接を経て一人の男が入った。私は教育係を押し付けられ、彼に仕事を教えることになった。

ところが!!である。この男、度を超した不器用さで、ろくに仕事がこなせない。いや、こなすというレベルではなく、ミスの連発で余計に仕事を増やす始末。他の者たちは全員、さじを投げ、私だけが彼をかばった。なぜなら、彼は真面目だったからである。

いつかは、そう、きっといつかは、バリバリ仕事をこなしてくれるに違いないと。

しかし、私の期待はもろくも崩れ去った・・・。

1年経っても一向に仕事のスピード、精度どれを取っても入社日と同じ・・・。

こんな人間がいるのか?私の教え方が悪いのではないか?いや、彼の後に入った男は、順調に成長しており、事あるごとに彼の事を非難していた。完全に追い越されてしまっていたのである。

後編に続く(孔明)

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